ケース1 不当勧誘で契約をさせられ、直ぐ解約を申し出たが不当請求を受けた事案

<事案>

 契約者(高齢)は,サブリース業者から、全室借り上げによる家賃保証を行うとして、アパート建築の勧誘を受けました。依頼者は、息子と相談してから決めたいとしましたが、業者は、電話で息子と直接話をし「息子さんはお父さんに任せると言っていた」など事実に反する説明をして、依頼者に建設請負契約を締結させました。この契約の前後に、依頼者は、契約代金の一部など合計180万円を業者に支払いました。

 依頼者の息子は,この契約締結を知り、契約から1週間ほどで、契約解除の通知を業者に送付しましたが、業者から、契約解除に伴う費用として、依頼者に対し上記費用の支払いに加え300万円を超える請求がなされました。

<対応>

 依頼者は、弁護士に相談し、クーリング・オフ、詐欺取消などを主張して、請求の拒絶と支払った金員の全額返還を求めました。業者は、契約解除に伴う費用は設計図の作成料等だとしましたが、その後、図面は、契約解除通知後に作成したものであることが判明しました。最終的には、業者が大半の返金を行う姿勢を見せ、和解が成立しました。

ケース2(不当解約の申し入れに対し、調停申し立てを行った事案)

<事案>

 依頼者は、平成8年頃、サブリース業者から自宅訪問を受け、所有している農地にアパートを建築しないかと勧誘されました。業者からは、「アパートを建築すれば、30年間一括で借り上げる。オーナーは、何もせずに安定した収入を得られる」「建築費は、銀行でローンを組めば良い。確実に返済できる」と勧誘を受けました。また,業者から、「経営計画書」が示されましたが、賃料が右肩上がりに増加するという内容になっていました。

 依頼者は、銀行でローンを組み、アパートを建築しました。アパート完成後に、賃貸借契約書を交わしましたが、知らない間に契約期間が「10年」、さらに業者側から自由に解約できる条項が入っていました。

 賃貸借契約開始後、依頼者は修繕費やインターネット設置の負担金等、説明を受けていなかった出費を求められた上、平成22年になって、業者から半ば強引に賃料の減額を了解させられました。さらに,平成24年には、強引な賃貸借契約の合意解約を求められたことから、弁護団に依頼を行いました。

<対応>

 弁護団では、民事調停の申し立てをして対応を行いました。最大の問題は、中途解約条項が存在することであり、30年一括借り上げいう約束からすれば、無効とされねばならないはずの条項でしたが、契約書に明記されていたことから、慎重な対応を行いました。

 調停では、業者に中途解約理由の説明を求め、不当性を指摘し、最終的に一定期間契約を継続して、その間に管理業者を見つける内容の調停を成立させました。

ケース3(不当解約に対する損害賠償等を求めた事案)

<事案>

 依頼者は、平成7年に、サブリース業者から勧誘を受け、30年一括借上げの約束でアパートを建築しました。勧誘においては、賃料が右肩上がりに増加する事業計画書が使用されました。しかし、この件でも、交わされた賃貸借契約書は期間10年のものであり、また業者側から解約できる条項が入っていました。

 賃貸借契約後、依頼者は、修繕費など当初説明されなかった費用の支払いを求められるようになりました。また、アパートの修繕に備えた共済会への加入を求められました。共済会加入には金銭的な負担がありましたが、依頼者はこれに応じました。この際、業者側から、「共済会に加入すれば、長期借上であることをはっきりさせる書面を渡す」とされ、木造だからということで「一括借り上げ期間を平成32年(契約当初から25年)までとする」旨の書面を受領しました。

 しかし、平成21年になって、業者は無理矢理に契約を解約し、解約に際して、入居全員を別の物件に転居させる措置までとりました。

<対応>

 依頼者は、弁護士に相談して、業者による解約が無効であることを確認する訴訟を提起しました(神戸地方裁判所姫路支部平成23年(ワ)第1316号事件)。元々の勧誘における契約期間(30年)の説明に加え、この事例では「一括借上期間を平成32年までとする」旨の書面が作成されていたので,これが中途解約条項を排除する合意があった旨主張を行いました。

 また、訴訟中に、一級建築士にアパートの状態を確認してもらったところ、建築上の問題点が見つかったこともあり、最終的には、業者が一定の解決金を支払うことを内容とする和解が成立しました。

 この件については、消費者法ニュース97号(2013年10月発行)に記事が掲載されています。

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