消費者庁等の徳島移転についての意見書
平成28年2月26日
サブリース被害対策弁護団 団長 弁護士 三 浦 直 樹
(連絡先)〒530-0041 大阪市北区天神橋3-3-3
南森町イシカワビル4F
エコール総合法律特許事務所
弁護団HP http://sublease-bengodan.jimdo.com/
不動産サブリース被害とは、専門家たるサブリース業者が、契約弱者たるオーナーに不当な勧誘を行うことによって発生する投資被害です。私たちは、不動産サブリース被害の救済と予防に取り組むために、消費者問題に関心のある大阪・京都・兵庫の弁護士・建築士によって結成された団体です。そのような立場から、今般、政府内で議論されている消費者庁や国民生活センター等の徳島移転問題に対しては、断固反対の意思を表明せざるを得ません。
そもそも、消費者庁は、消費者行政に関する関係各官庁の縦断的な「司令塔」として、消費者被害の発生・拡大の防止を図るために他省庁に働きかけ、所管法も担当大臣もいないような、いわゆる「すきま事案」に対応する役割を担うべきところ、例えば、2013年4月15日の衆議院予算委員会第2分科会において、不動産サブリース問題に対する対応につき、当時の消費者担当大臣は、「消費者庁としては、国民生活センターや消費生活センターに相談が来ましたら、所管の国土交通省にしっかり相談情報をお伝えすると同時に、私から今後どうするかということも国土交通省ときっちり協議をして、被害をなくしていきたいと思います。」と答弁し、正に「すきま事案」であるサブリース問題について、消費者庁が関係省庁と連携して取り組む姿勢をアピールしていましたが、東京から5時間以上もかかるような地方に移転すると、迅速かつ緻密な協議など、到底、実現困難となってしまいます。
また、国民生活センターには、全国の消費生活相談情報であるPIO-NET情報を集約・分析し、注意喚起する役割が期待されており、例えば、2010年11月25日付「ますますエスカレートするマンションの悪質な勧誘-増加する「強引・強迫」「長時間」「夜間」勧誘-」というプレスリリースにおいて、いち早く投資用マンションに関する不当勧誘に警鐘を鳴らし、2014年8月発行の雑誌『国民生活』において、「不動産サブリース問題の現状」という特集を組むなど、不動産サブリース被害が消費者問題であることを指摘してきましたが、事業団体への要望や関係各省庁への情報提供による被害防止の観点からは、関係方面との迅速かつ緻密な調整が不可欠であり、やはり徳島移転は大きな足枷となります。
よって、不動産サブリース被害に取り組む当弁護団は、消費者庁等の徳島移転に反対します。
以 上